「自己破産に関心はあるが、仕事を失いたくない・・」

「自己破産したことは職場にバレてしまうのだろうか?」

自己破産を考えてはみたものの、仕事を失うリスクを考えるとだいぶ不安になり、躊躇してしまうものでしょう。また、いつかは職場にバレてしまい、肩身の狭い思いをして辞めざるを得ないのでは・・など、考えだせばどんどん後ろ向きなイメージが膨らんでいくものでしょう。

しかし、あなたが考えるほど、職場への影響はひどいものではありません。実は、ある程度の配慮がされているという事実を知らない方が多くいらっしゃいます。そこで今回は、自己破産後に仕事に与える影響や、制限のかかる職業についてみていきましょう。

自己破産とは

まず、自己破産について軽く触れておきましょう。

自己破産とは裁判所を通じて行う手続きであり、債務整理の一種です。自己破産は借金を全て免除してもらえるという大きなメリットの一方、手持ちの財産はほぼ失ってしまうというデメリットがあります。つまり、借金と財産を相殺する手続きと言えます。

具体的には、「破産」と、「免責」という2つの手続きにより進められます。「破産」の手続きにより財産を処分して、カード会社(クレジットカード会社・消費者金融・銀行)に弁済しますが、それでも完済できない場合にカード会社に借金を免除してもらう手続きを「免責」と言います。つまり、自己破産はこの「破産」と「免責」がセットで成立するわけですね。

自己破産による仕事への影響

あなたが自己破産すると、免責の手続きが完了するまでの間(3カ月~1年)は、あなたは「破産者」となります。そして、その期間は一部の職業に就いている方は、職業を制限されることになります。
以下のような職業が制限の対象になります。

「弁護士、弁理士、公認会計士、行政書士、税理士、司法書士、司法修習生、社会保険労務士、中小企業診断士、通関士、土地家屋調査士、不動産鑑定士、宅地建物取扱業、建設業(一般建設業,特別建設業)、建築士事務所開設者、保護者、保佐人、補助人、後見人、公証人、言執行者、旅行業務取扱主任者、旅行業者宅地建物取扱主任者、廃棄物処理業者(一般廃棄物処理業者,産業廃棄物処理業者)、投資顧問業、証券業、質屋、貸金業者、卸売業者、教育委員会委員、商工会議者会員、人事官、生命保険募集人、税理士、損害保険代理店、警備員、警備業者」

そして、上記の職業に就いている方は、速やかに職場に相談しましょう。破産の事実を隠したままにしていると、あなたの職場が処分の対象になったり、あなた自身が免職処分になる可能性があります。早めに相談しておけば、一時的な退職扱いとし、免責確定後に復帰することができるよう手配してくれる可能性があります。

ちなみに、自己破産を理由に解雇することは不当解雇にあたるため、仕事を失うことはありませんのでご安心ください。ただし、自己破産を解雇理由にしている企業もあるのでご注意ください。警備員などは、入社時の契約書で記載されています。

自己破産は職場に知られてしまう?

自己破産後に、その事実が職場に知られてしまうことは不安でしょうが、裁判所が自己破産した情報を職場に通達することありませんのでご安心ください。

ただし、自己破産の情報は「官報」という国の新聞のようなものに掲載されることになります。しかし、官報に目を通す方や、企業は限られていますので、そこまで心配する必要もないでしょう。

もし、「どうしても官報に載りたくない」、という方は任意整理を考えてみましょう。任意整理であれば官報に載ることもありません。

カード会社の取り立てが職場にきたら?

カード会社の取り立て電話が職場にしつこくかかってくることを考えると不安になるでしょう。こうなってしまうと、職場に迷惑がかかり、結果的にあなたが辞めざるを得ない状況になりかねません。

しかし、そのようなしつこい取り立ては、法律で厳しく禁止されているのでご安心ください(貸金業法第21条1項)。

このような取り立ては違法行為にあたりますので、告訴が可能です。告訴すると、カード会社に対して業務停止などの行政処分を求める申し立てを行うことになります

一般的な職業に就いている場合は?

上記に記載した職業に該当しない、一般的な職業に就いている方は、自己破産してもご自身で告白しない限り職場に知られる心配はないと言えるでしょう。

しかし、強制執行(給料の差し押さえ)されてしまうと社内で噂が広がる可能性も否めないので、カード会社が法的措置に入る前に、早めに自己破産などの救済措置を講ずるべきでしょう。

自己破産後、商売道具も没収されるのか?

前述した通り、自己破産をすると手持ちの財産を処分することにはなりますが、一部の財産は「自由財産」として認められ、処分を免れることができます。

ちなみに、自由財産として認められる財産には以下のようなものがあります。

99万円までの預貯金と現金、自動車、保険、給与、賞与の3/4(33万円以上は制限あり)、失業保険、年金、退職金(見込み額の1/8)、退職年金、電話加入権、敷金
生活必需品(洗濯機、乾燥機、洋服、TV、冷蔵庫、家具、電子レンジなど)
生活費(2カ月分、現在の基準は66万円)、食料や燃料(1カ月分)も対象です。

そして、商売道具はこれらの自由財産に含めることができます。ただし、自営業の方の場合は、売掛金などの事業資産や、一部の事業設備は処分されるケースがあるので注意しましょう。サラリーマンと自営業の違いについては次項にて詳しく説明していきます。

サラリーマンと自営業の違いについて

サラリーマンの方々は前述したとおり、一部の職業以外は自己破産しても制限されないことがお分かりいただけたでしょう。それでは、次に自営業の方が自己破産するとどうなるか見ていきましょう。

結論から申し上げると、個人事業主の方であれば、自己破産したからといって事業を継続してはいけないというルールは法的に設けられておりません(法人化している場合はその法人での事業は継続できません)。

ただし、現実的には事業の継続は難しいと言えます。その理由について説明していきましょう。

個人事業の継続が難しい理由

個人事業の継続が難しい理由には、以下のような点が挙げられます。

・手元に自由財産として認められた財産しか残せないため、事業を継続するほどの資金力が確保できない。

・自己破産するとブラックリストに載ることになるため、借金をしたくても審査が通らず、結果的に事業に必要な資金を確保できない。

・事業で、工場などの設備を所有している場合は、それらは財産をみなされ、処分されてしまい、事業の継続が困難になる。

・財産が流出するような契約(人材の雇用、設備のリース契約など)は、自己破産すると契約が解除されるため、事業の継続が困難になる。

・自己破産により取引先への借金も踏み倒すことになり、信用が失われてしまう。

自己破産後に起業できる?

自己破産後であっても、新規に事業を営むことは法律的に問題ありません。

とは言え、ブラックリストに載っている状態であると借金ができず、資金調達がうまくいかないでしょう。

当然、事業資金が集まらないと、事業としてはかなり苦しくなります。

しかし、探せば資金がなくてもスタートできるビジネスというものは数多く存在します。もし、あなたが自己破産後に起業するのであれば、まずは資金なしではじめられるビジネスで信用を付け、ブラックリストから情報が削除されてから、資金調達をするような流れが良いかもしれませんね。

まとめ

今回は、「自己破産は仕事に影響することはあるのか?」について解説させていただきました。

・自己破産は債務整理の一種で裁判所を通す手続き
・自己破産の最大のメリットは借金を全て免除できること、最大のデメリットは財産を失うこと
・自己破産すると、一部の職業に就いている方は制限がかかる
・自己破産しても、裁判所が自己破産した情報を職場に通達することはない
・商売道具も自由財産に含めることができる
・自営業の方が自己破産した場合、法律的には業務を継続できるが、現実的には難しい

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